ランニングの着地はつま先 or かかと?トレーナーが解説

スポーツ

ランニングの着地は「フラット着地」と言って、足裏全体で着地することがベースになります。

ただランニングスピードによってフラット着地にならないケースもあり、状況によって変わってきます。

この記事では、

・ランニングの着地はつま先 or かかと?
・適切な着地をするための改善方法

などをパーソナルトレーナー歴11年の伊藤出がお伝えします。

 

ランニングの着地はつま先 or かかと?

冒頭でもお伝えしたように、ランニングの着地は、

基本的には、足裏全体で行うことがベースになる

と考えています。この理由は以下の通りです。

フラット着地=地面からの衝撃を分散できる

ランニングの着地で地面から受ける衝撃は、「体重の約4~5倍」とも言われているんですね。

この大きな衝撃を片足で受けるわけですが、フラット着地をすることで地面から受ける衝撃を脚や体幹に“分散”して和らげることができます。

ただ、

・つまさき
・親指の付け根
・足裏の後方(かかと)

などの部分から着地をすると、大きな衝撃が脚の部分にかかってしまう。

そういった着地を繰り返していると、

・部分的に筋肉が硬くなる
・ストレスに耐えられなくなると炎症が起こる

結果、痛みが発生してしまう可能性があります。

ではなぜ、フラット着地ができると地面から受ける衝撃を緩和できるのでしょうか?

その理由は、足にある4つのアーチの存在が関与しています。

内側縦弓

外側縦弓

横弓

足にあるアーチには、

・内側縦弓
・外側縦弓
・中足骨弓
・横弓

などがあり、体重がかかっていない状態であれば適度な膨らみを持ちます。

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いずる

手でイメージするとわかりやすく、こんな感じです!

足のアーチ

ここに体重がかかることでアーチが全体にへしゃげるような形になり、この作用によって地面から受ける衝撃を緩和しているんですね。

へしゃげる

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いずる

足のアーチは、ショックアブソーバーの働きをしています!

この衝撃緩和作用を適切で働かせるために、

ランニングでの着地は足裏全体・フラット着地がベース

だと考えています。

自然な体重分布

このフラット着地の必要性を理解するために、もう一つ押さえておきたいことが「自然な体重分布」です。

まずはこちらをご覧ください。

マルカルドの体重分布

これは「マルカルドの体重分布図」といって、人間が立った時、自然な状態で足裏にかかる体重比率を表しています。

この比率で立てる、または足裏に体重かかったとき、上記でお伝えしたアーチが適切な役割を果たして衝撃を緩和します。

この比率で足裏に体重を乗せようと思うと、以下の点に体重を乗せることがポイントになります。

ちょうどこの位置は「くるぶしの真下」に位置し、ここが足のど真ん中の位置になるんですね。

この位置で着地ができると、

・足裏全体で着地することになる
・足のアーチがショックアブソーバーの働きをする
・衝撃が脚や体幹全体に分散される
・その結果ランニングで足や腰などを痛める可能性が低くなる

こういった流れができます。

もしランニング後の痛みで悩んでいる方は、こういったフラット着地に変えるだけで痛みを改善できる可能性は高いです。

フラット着地=減速もしづらくなる

また痛みの予防・改善だけではなく、ランニングスピードを維持する上でもフラット着地は非常に重要になってきます。

例えば極端に、

・つま先
・踵

のどちらかに着地が偏ってしまうと、地面を突くような着地になるんですね。

つま先着地

そうすると地面との摩擦が大きくなり、ブレーキがかかって減速します。こういった着地を繰り返していると、長距離になればなるほどタイムロスにつながってしまう。

フラット着地だと、地面との摩擦が少なくなり、余計なブレーキがかからなくなります。

ですので、タイムを求める長距離ランナーなどもフラット着地がベースになると考えているんですね。

スピードが上がるとフラット着地から変わる

ただ世界陸上などを見ていると、

フラット着地ではなく、つま先付近で着地している

ランナーを多く見かけます。これだけ見れば、「フラット着地は間違いでは?」と思われるかもしれません。

ここで押さえておきたいことは、

スピードが上がるとフラット着地が間に合わず、自然につま先での着地に変わる

ということです。

ランニングスピードが上がると、自然と脚の回転が速くなります。この回転速度でフラット着地をしようと思うと、どうしても減速してしまうんですね。

ですので、ランニングスピードが速い場合は、

自然とフラット着地から、つま先着地へと変わっていく

ということです。

最初からつま先着地は NG

こういったことを伝えすると、

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ランナー

最初からつま先着地でもいいのでは?

と考える方もいると思います。ただこれは NG なんですね。

というのは、上記でお伝えしたように、意識的につま先着地を繰り返すとふくらはぎや前ももへのストレスが非常に大きくなります。

そういった着地を繰り返せば障害につながりますが、

・フラット着地
・ランニングスピードが上がる
・自然とつま先着地に変わる

こういった自然の流れの中で着地が変わると、余分な緊張は脚にかかりづらくなります。

また動きの硬さも出にくくなるため、タイムを求めるランナーもタイムロスが少なく済むんですね。

ですのでここまでのことを一旦整理すると、

・ランニングの着地は、基本的にフラット着地
・ランニングスピードが上がれば、自然とつま先着地に変わる

ということです。

では、ランニングの着地をフラット着地に変えようと思うとどうすればいいのでしょうか?

 

ランニングの着地を改善する方法①: 体重支持ポイントを理解する

踝の真下に体重を乗せた立ち方

まず最初に行っておきたいことは、踝真下の位置を体感しておくことです。

この位置に体重を乗せる感覚をつかむためには、以下の記事でお伝えする方法を実践してみてください。

ここでお伝えする立ち方ができると、踝真下に体重を乗せる感覚がより分かりやすくなります。

踝真下の感覚がつかめると、ここから着地の改善方法へ移っていきます。

 

ランニングの着地を改善する方法②: その場ジャンプを行う

体重支持ポイントが理解できると、次はその場でフラット着地ができるにインプットしていきます。

1、その場ジャンプ

1、足を肩幅に開く
2、つま先も軽く開く
3、体重を踝真下に乗せる
4、その場で軽くジャンプする
5、踝真下、もしくは足裏全体で着地する
6、これを確実にできるまで繰り返す

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いずる

踝真下で適切に着地ができると、おしりの付け根に衝撃を受ける感覚が出てきます!

確実にその場ジャンプでフラット着地ができるようになれば、次は片足に変えていきます。

2、その場で片足ジャンプ

1、片脚で立つ
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場で軽くジャンプする
4、踝真下、もしくは足裏全体で着地する
5、これを確実にできるまで繰り返す

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いずる

これも踝真下で適切に着地ができると、おしりの付け根に衝撃を受ける感覚が出てきます!

これを左右の足で確実にできるようになれば、次は左右の足で交互にフラット着地を繰り返していきます。

3、その場で交互ジャンプ

1、片脚で立つ
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場で軽くジャンプする
4、逆足の踝真下、もしくは足裏全体で着地する
5、同じように、逆足の踝真下、もしくは足裏全体で着地する
5、これを確実にできるまで繰り返す

まず最初はこのように、その場で確実にフラット着地ができるようにインプットしていきます。

 

ランニングの着地を改善する方法③:少し進みながらジャンプ着地を繰り返す

その場でフラット着地が確実にできるようになれば、次は少し前に進みながらフラット着地をインプットしていきます。

1、10cm前に両足でフラット着地

1、足を肩幅に開く
2、つま先も軽く開く
3、体重を踝真下に乗せる
4、10cm前にジャンプをする
5、踝真下、もしくは足裏全体で着地する
6、これを確実にできるまで繰り返す

2、10cm前に片足ジャンプしてフラット着地

1、片脚で立つ
2、体重を踝真下に乗せる
3、10cm前に軽くジャンプする
4、踝真下、もしくは足裏全体で着地する
5、これを確実にできるまで繰り返す

3、10cm前に交互ジャンプしてフラット着地

1、片脚で立つ
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場で軽くジャンプする
4、逆足の踝真下、もしくは足裏全体で着地する
5、同じように、逆足の踝真下、もしくは足裏全体で着地する
5、これを確実にできるまで繰り返す

こういった手順で確実にフラット着地ができるようになると、少しずつジャンプの距離を伸ばしていきます。

イメージとすれば、

・20cm
・30cm

とジャンプ幅を広げ、これが確実にできるようになればランニング動作へとつなげていきます。

 

ランニングの着地を改善する方法④:ランニング動作へとつなげる

ランニング動作については、以下の記事で詳しく解説しているのでこちらを参考にしてみてください。

ここまでの流れが適切にできれば、お伝えしたいフラット着地実践できるようになってると思います。

 

アイテムを使ってランニングの着地を改善する方法

もしどうしてもフラット着地が上記の流れでしづらい方は、以下のようなアイテムを使うのもアリだと思います。

1、足首にサポーターを巻く

これは現場で実際に使用していますが、以下のようなサポーターを足首に巻くんですね。

適度に足首を固定することで、自然にフラット着地がしやすくなります。

この状態で上記でお伝えしたジャンプ着地を実践すれば、より確実にフラット着地ができ、スムーズに走ることもできます。

ですので、こういったサポーターを活用してフラット着地のインプットをするのもおすすめですね。

2、下駄を履く

下駄を履いてフラット着地を実践すると、これも非常に適切な着地位置を理解しやすくなります。

ポイントは後方に二本歯があるような、下駄を履くことです 。

下駄

これを履くと踝真下の位置はインプットしやすく、 下駄を脱いだ後もフラット着地の感覚はインプットしやすくなっています。

3、ダイソーのフェルトを足裏に貼る

これも色々試してよかったものですが、ダイソーに売っている以下のようなフェルトを踝真下に貼ります。

人間は足裏に異物があれば、そこに自然と体重を乗せやすくなるんですね。

この反応を利用して、上記でお伝えした着地を繰り返せば、フラット着地を確実にインプットできます。

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いずる

ここまでお伝えしたような方法でフラット着地をインプットできれば、今までと違ったランニングができると思いますのでぜひ参考に実践してみてください!

今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ちなみにランニングでの痛みに悩まれている方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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