スクワットをして腰痛が発生した場合、まずは全身の筋肉を緩めることが必要です。
その上で自然な動作でスクワットをしたり、根本的な原因を取り除くことで腰を痛めずにスクワットができるようになります。
この記事では、
・スクワットで腰が痛くなる原因
・スクワットで発生した腰痛を改善する方法
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕(@izuru_style)が解説します。
※今回の内容は、骨や靭帯など組織に問題がないことを前提にします。腰痛で悩む方は、まず病院で診察を受けて、医師から運動の許可をしてもらってから行ってください<m(__)m>
今回の記事の内容
スクワットで腰痛が発生する原因
スクワットで腰痛が発生する原因は、以下のようなことが考えられます。
1、腰や背中が反っている
まず考えられることは、
膝がつま先よりも出ないように、スクワットをしている
ということです。こういった意識でスクワットをしていませんか?
よくこの動作は「正しいスクワット」として紹介されますが、実は腰痛が発生する可能性があるんですね。
こういった意識でスクワットをすると、以下のような状態になります。
お尻を後方に突き出すような姿勢になり、背中が反りやすくなるんですね。
バーを担いでスクワットを行った場合、腰辺りにより大きなストレスがかかります。
こういった背中を反らせた状態でスクワットをしていると、あるタイミングで腰痛が発生する確率は高くなります。
2、目線や顎の位置が上下に傾いている
上記で背中の反りについて解説しましたが、目線や顎が上がることも腰痛の原因になります。
自然な状態でスクワットを行うと、軽く顎は引いた状態になるんですね。
そうすると、体幹や脊柱辺りは力みやすくなり、高重量であっても適切に支えることができます。
ただ、顎の位置が上がってしまうと背中が緩んで、適切に支えられなくなるんですね。
これは頸反射というもので、顎を上げてしまうと体幹の筋肉の出力が下がり、この状態でスクワットをすると腰痛が発生しやすくなります。
逆に顎を引いてしまうと、骨盤や背中が丸まりやすくなり、これも腰への負担が増加します。
このように、顎の傾き具合のまずさが腰痛の原因になっていることも考えられます。
3、骨盤の位置が不安定
実際に現場でクライアントさんの指導をしていると、スクワットでしゃがみ込んだ時、
・骨盤が左右に動く
・ぐらぐらっと体幹が揺れる
・骨盤が過度に前後傾してしまう
など、骨盤が不安定な方がいます。
スクワットでしゃがみ込み、立ちあがろうとするときに大きなストレスがかかってきます。
このタイミングで骨盤が不安定な状態であっても、腰へのストレスが増して腰痛が発生することもあるんですね。

おそらくスクワットで腰痛になった方は、骨盤が不安定だった方は多いと思います!
4、強度が高すぎる
上記で解説したのは「動作のまずさ」ですが、次は強度の問題でフォームが崩れ、それによって腰を痛めるケースです。
例えば、適切なフォームでスクワットができる限界値が50kgだったとします。こういう方が無理をして、60kgでスクワットをするとフォームが崩れてしまう。
その結果、
・フォームが崩れて、部分的なストレスが大きくなる
・腰に大きなストレスがかかり、腰痛が発生する
ということが考えられます。
大切なことは、
適切なフォームが維持できる重量でスクワットを行い、それを守った中で負荷を上げていく
ということです。
現場で相談に来られる方を見ていても、わりと男性の方は重量を上げるタイミングが早すぎて、それによって腰を痛めているケースは結構見受けられますね。
5、回数が多すぎる
強度の問題と被りますが、スクワットを行う回数が多すぎるということも腰を痛める原因の1つです。
回数の判断は難しく、基本的には、
適切なフォームが崩れたら終了
という基準で1セットを終えるようにします。

ただスクワットの場合、適切なフォームが崩れてもある程度スクワットを繰り返せてしまうんですね。
本来は限界なのにそれをこえて反復してしまうと、そこでフォームが崩れて腰痛が発生してしまう。
こういった「回数の問題」や「やりすぎ」も、腰痛が発生する大きな原因の1つとして考えられます。
6、大腿直筋の緊張が強い
ここまでお伝えした①~⑤は、フォームが崩れることで腰に直接大きなストレスがかかって腰痛になるというケースでした。
次は少し別の理由で、腰が痛くなるケースです。
前ももの筋肉(大腿四頭筋)の1つに「大腿直筋」という筋肉があるんですね。
この筋肉は骨盤から膝につながっていますが、大腿直筋が緊張して硬くなると骨盤を前傾させる作用があります。
スクワットをするときに、
・つま先重心でスクワットを繰り返す
・膝がつま先よりも出ないようにしゃがむ
こういう動作を行ってしまうと、大腿直筋などが硬くなってきます。
元々反り腰や前ももが硬い方の場合、スクワットで大腿直筋が過度に緊張することで腰痛が発生することがあります。

大腿直筋が硬くなると、骨盤が前傾し過ぎた結果、腰痛が出やすくなるんですね!
今腰痛で悩む方は、前ももの筋肉を触ってみるとカチカチに張っていませんか?こういう前ももの硬さも、腰痛に関係しています。
7、姿勢の崩れ
そして、最後は根本的な姿勢が崩れてしまっているということです。
例えば、何気なく立ったときにこういう体の捻れ・歪みがあったとします。
こういう方がスクワットを行えば、
・左側に偏ってしゃがむ
・左側の腰などに多くストレスがかかる
と想像できますよね。
50:50であればストレスは分散されますが、片側に偏ると部分に非常に大きな負担がかかってしまいます。
上記の画像は全体が左側に崩れている状態ですが、
・頭が左右に傾いている
・肩の左右の高さが違う
・骨盤の高さや前後の向きが違う
など、立ったときの姿勢が崩れた状態でスクワットをしてしまうと、それも腰痛になる可能性が高いんですね。
では、こういった原因で発生した腰痛はどのように改善すればいいのでしょうか?
スクワットで発生した腰痛の改善方法①:全身の筋肉を緩める
まずやるべきことは、硬くなっている全身の筋肉を緩めることです。
そうすると、
・全身の歪みや捻れが整う
・腰周辺で起こる炎症が改善する
その結果、腰痛を軽減することができます。
全身の筋肉を緩める方法
全身の筋肉を緩める方法は以下の動画で解説しているので、こちらを参考にまずは全身の筋肉を緩めていきましょう。
腸腰筋を重点的に緩める
全身の筋肉を緩めてもまだ腰痛がある方は、腸腰筋という筋肉を緩めていきましょう。
腰痛の場合、この筋肉が非常に硬くなりやすいんですね。
この筋肉をさらに緩めることで、腰痛もより改善できるはずです。緩める方法は「反り腰も改善!腸腰筋や腰が硬い原因と柔らかくする5つの方法」をご覧ください。
前ももをさらに緩める
さらに原因でも解説した前ももの筋肉もさらに緩めることで、腰痛の改善がしやすくなります。
前ももを緩める方法は「【完全版】太ももの前側がパンパンで太い&張り出す原因と細くする3つの方法」で詳しくお伝えしています。

ここまでお伝えした通り、まずは徹底して全身の筋肉を緩めるのがポイントですね!
スクワットで発生した腰痛の改善方法②:スクワット動作を改善する
全身の筋肉が緩められると、次は自然なスクワット動作を身体にインプットしていきます。
正しいスクワットについては、「スクワットができない原因と正しいスクワットをする7つの手順」や動画を参考に実践してみてください。
もし高重量でスクワットを行っている方は、以下のことも重要です。
しゃがんだときに一瞬止まる
しゃがんだときに骨盤が不安定になる方は、この癖を改善する必要があります。
やり方としては、
・スクワットの姿勢をとる
・真下にへしゃげるようにしゃがむ
・体幹をグッと一瞬固める
・頭を引き上げるように立ちあがる
こんなイメージです。
そうすれば骨盤が安定し、立ちあがるときに腰へのストレスも軽減できます。

このちょっとの意識で、かなり体幹や骨盤は安定しますよ!
呼吸を一瞬止める
上記とあわせて、体幹を固めるときは一瞬呼吸も止めます。
これは扱う重量によって変わりますが、
・高重量=呼吸を一瞬止める
・低重量=体幹を固めるだけでOK
このように変化させます。
高重量を扱う時に息を吐くと体幹がぶれて危険ですので、高重量の場合は呼吸を止めるようにしましょう。
適切なウォーミングアップを行う
また高重量でスクワットを行う前に、適切なウォーミングアップを行うことでも腰痛のリスクを軽減できます。
これは「足首が硬いとどうなる?原因と足首を柔らかくする4つの方法」でお伝えする、スムーズなしゃがみ込み動作を行ってみてください。
この動作を行ってからスクワットを行うと、
・スムーズにしゃがめる
・下半身や体幹全体で重量を支えられる
・腰にかかるストレスが軽減できる
こういったプラスの影響がでるんですね。

これは僕もスクワット前に“必ず行う”ことなので、腰痛改善にはかなり効果的です!
基本的にはここまでの流れが適切にできると、腰痛は改善できるはずです。
考え方としては、スクワットのやり方を変えることでも腰痛改善はできます。腰痛で悩む方は、以下のスクワット方法も参考に実践してみてください。
1、身体の前でダンベルを持つスクワット

このスクワットは、反り腰や背中が反りやすい方におすすめです!
1、脚を肩幅に開く
2、つま先違和感ない程度に開く
3、体重を踝真下に乗せる
4、真下にダンベルを置くようにしゃがむ
5、頭を引き上げるように立ちあがる
2、身体の前でバーベルを持つスクワット

このスクワットも、反り腰や背中が反りやすい方におすすめです!
1、脚を肩幅に開く
2、つま先違和感ない程度に開く
3、体重を踝真下に乗せる
4、身体の前側でバーベルを持つ
5、真下に置くようにしゃがむ
6、頭を引き上げるように立ちあがる
3、ダンベルを引いた状態でスクワット

このスクワットは、猫背や背中が丸まりやすい方におすすめです!
1、脚を肩幅に開く
2、つま先違和感ない程度に開く
3、体重を踝真下に乗せる
4、左右の手でダンベルを持つ
5、肩甲骨を寄せ、胸を張る
6、真下にへしゃげるようにしゃがむ
7、頭を引き上げるように立ちあがる
もし今まで行っていたスクワットで腰痛が出る方は、上記を参考に実践してみてください。
その他にも腰痛対策はあるので、これらもあわせてご紹介しますね。
スクワットで発生した腰痛の改善方法③:その他の対策
高重量を扱ってスクワットを行う場合、以下のベルトの活用はおすすめです。
1、トレーニングベルトをつける
このベルトを巻いてスクワットを行うと、腹圧が高まって体幹が安定するので腰を痛めづらくなります。
ジムに行くとゴリゴリな男性がよく巻いていると思いますが、これは腰痛予防や改善には効果的なアイテムですね。
2、アイシングを行う
腰を痛めた後や改善途中でも、アイシングで腰を冷やすようにします。
腰が熱を持つと炎症が起こり、痛みが増す可能性があるので、以下のようにアイシングする習慣をつけましょう。
・腰にアイシングをあてる
・20分冷やしたら終了
・もしくは20分以内に感覚がなくなれば終了
タイミングといつでもOKですので、アイシングも腰痛改善には重要ですね。
以下のようなアイシングパットも売っているので、こういうのを活用すると便利です。
3、一定期間トレーニングを休む
痛みは脳が記憶して行う場合がありますが、1度トレーニングを完全に休むのもありだと思います。
そうすると痛みを忘れ、その後にスクワットをすれば腰痛が出ないということもあるんですね。
もし何をしても腰痛が改善しない場合は、
1週間程度、思い切って休む
というのも1つの手段です。

ちなみに1週間筋トレを休んでも、筋力は低下しないので安心してください!
今回は、スクワットで出る腰痛の原因と改善方法について解説しました。
・スクワットで腰痛が出る原因は主に7つある
・改善のためには、まず全身の筋肉を緩めること
・そして、しゃがむ手順を改善する
・その後にスクワット動作を改善する
・この3つの手順ができると腰の痛みは改善する
スクワットはキングオブエクササイズと言われるほど、目的に応じて方法を変化させると本当に多くの効果を実感することができます。
スクワットをするから腰が痛むのではなく、“どのように行うか”が最重要です。
今回の内容が少しでも参考になる内容であればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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