低重量でも適切に速筋に刺激を与えることができると、重量の大きさに関係なく筋肥大させることができます。
一番のポイントは、どのような刺激を加えることで“速筋に刺激が加わるか”ということです。
この記事では、
・低重量でも筋肥大する理由
・低重量で筋肥大させる4つの方法
などをパーソナルトレーナー歴11年の伊藤出(@izuru_style)がします。
今回の記事の内容
低重量でも筋肥大が起こる理由
まず押さえておきたいことは、以下のことです。
速筋に刺激が加わると筋肥大が起こる
人間の体には大きく分けて2つのタイプの筋肉があり、特徴などは以下の通りです。
速筋 | 刺激を受けると太くなる |
遅筋 | 刺激を受けると細くなる |
速筋は刺激を受けると太くなるという性質があるため、筋肥大を目的とする場合は、この「速筋をターゲット」にトレーニングする必要があります。
速筋に刺激が加わる条件
速筋に刺激が加わる条件の代表は、
大きな力を発揮する
ということです。高重量でトレーニングした場合、大きな力を発揮して速筋に刺激が加わると筋肥大が起こりますよね。
ただ低重量であっても、速筋を刺激する方法はいくつもあり、適切に刺激ができると筋肥大が起こります。
1、筋肉を追い込む
2、低酸素状態にする
3、エキセントリックな刺激を加える
4、反動を活用する
ここは大きなポイントになるので、少し深掘りしていきますね。
1、筋肉を追い込む
例えば、腕立て伏せをするとします。
ある程度筋肉がついている男性であれば、おそらく10回ぐらいは余裕で、中には60回…70回…できる方もいると思います。
このぐらいできるのであれば、本来は、
筋肉が引き締まって、シェイプアップする刺激
となるはず。
ただ、低負荷で筋肥大を起こす最大のポイントは、反復できなくなる最後の数回。
最初は膝つき腕立て伏せが楽にできていても、78…79…80…と重ねると辛くなり、反復できなくなっていく。そして、83回ぐらいで反復できなくなるとします。
そうすると、
限界を迎える直前の数回が、筋肥大の刺激になる
と言われているんですね。
これは、東京大学教授の石井直方先生が著書「トレーニングのヒント」の中で解説されています。
つまり、
1~79回目ぐらいは、最後の5~6回の刺激を引き出す準備運動
といったところです。
この最後の数回を引き出すことができると速筋に刺激が加わり、低重量でも筋肥大が起こるというわけです。
2、低酸素状態にする
低酸素状態にするというのは、
・加圧トレーニング
・スロートレーニング
などを活用したトレーニング方法になります。
例えばスロースクワットをした場合、体内では以下のような反応が起こると言われているんですね。
・時間経過と共に筋肉が震える
・筋内が低酸素状態になる
・その結果速筋に刺激が加わる
もう少し厳密にいうと、低酸素状態になることで体内で分泌されるテストステロンなどの筋肉をつけるホルモンの分泌量が変わります。
いわゆる脳が錯覚状態になり、高重量でトレーニングしたような状態になり、結果として筋肉が肥大しやすくなるんですね。
もしウエイトトレーニングなどの刺激に慣れてしまっている方は、こういったスロートレーニングの刺激を加えると非常に筋肥大しやすくなります。
3、エキセントリックな刺激を加える
エキセントリックな刺激というのは、ブレーキ動作を活用したトレーニング方法になります。
スクワットで言えば、以下のような方法です。
この場合、大腿四頭筋(前もも)がエキセントリックな刺激を受け、重量の大小にかかわらず速筋に刺激が加わることが分かっています。
ですのでこういったブレーキ動作を活用したトレーニングは、低重量であっても筋肉を肥大させやすい刺激になります。
4、反動を活用する
そしてもう一つの方法は、反動を活用して筋肉に大きな刺激を加える方法です。
例えば、自重で行える以下のようなディープスクワットは非常に刺激が大きいんですね。
このようなスクワットの場合、股関節周辺にかかる刺激は体重の約4~5倍と言われています。
実際に現場でも経験がありますが、20kgのバーを担いでこのようなトレーニングをするだけでも、かなり筋肥大が起こります。
このトレーニングの醍醐味は、
反動を活用することで、筋肉に対する刺激を大きくする
ということであり、バリエーションを理解すれば自重でも全身の筋肥大を起こすことができます。
では、具体的に低重量トレーニングでどうやって筋肥大させればいいのでしょうか?
低負荷で筋肥大を起こす方法①: 低負荷で力を出し切る
まず最初は、低負荷で高回数で筋肉を追い込み、筋肥大させる方法をご紹介します。
1、腕立て伏せ
1、手を肩幅に開き、頭からかかとを一直線にする
2、体を地面に下げ、地面を押し返して体を持ち上げる
3、これを限界まで繰り返す
2、 ディップス
1、椅子に座り、両脚を伸ばす
2、手を腰幅に開き、椅子に置く
3、椅子からお尻を浮かせる
4、軽く脇を締め、体を下げる
5、手の力で体を持ち上げる
6、これを限界まで繰り返す
3、腹筋
1、仰向けになり、両膝を曲げる
2、足元にダンベルを置き、足を引っ掛ける
3、両手を耳に当て、軽く顎を引く
4、体を丸めるように腹筋行う
5、これを限界まで行う
このようにトレーニング方法は何でもOKで、低重量で限界まで追い込むば、それだけで十分筋肥大が起こります。
回数以外の適切な条件は、「【徹底解説】大胸筋が大きくならない原因と大きくする5つの方法」で紹介しているのでこちらを参考に設定してみてください。
低負荷で筋肥大を起こす方法②:低酸素状態にする
続いては低酸素状態にして筋肥大を起こす方法ですが、これは様々なやり方があるのでご紹介しますね。
1、スロースクワット
1、足を肩幅に開く
2、つま先も違和感ない程度に開く
3、重心を踝の真下に設定する
4、軽く膝を曲げる
5、4秒間かけてしゃがむ
6、4秒間かけて立立ち上がる
7、これを限界まで繰り返す

この場合はスローで動くことによって筋内を低酸素状態にしています。ですので、常に膝が曲がったまま行うようにしてください!
この他のスロートレーニングの方法は、以下の記事で紹介しているので、こちらを参考にどうぞ。
2、ノンロックアームカール
続いては、常に筋肉にストレスをかけ、低酸素状態にする方法です。
1、手にバーベルを持つ
2、軽く腕を前に出し、軽く肘を曲げる
3、 肘を曲げ、上腕二頭筋に刺激を加える
4、力が抜けないように、ゆっくり肘を伸ばす
5、肘が伸び切る手前で、再度肘を曲げる
6、これを限界まで繰り返す
こういった方法でも筋内が低酸素状態になり、その結果筋肥大が起こります。

この他の種目をする場合、軽く関節を曲げた状態で筋肉に常に負荷をかけて行えばOKですね!
低負荷で筋肥大を起こす方法③:エキセントリックな刺激を加える
このトレーニング方法は、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらを参考に実践してみてください。
低負荷で筋肥大を起こす方法④: 反動を活用する
もう1つは、反動を活用して筋肥大を起こす方法です。
1、ディープスクワット
1、足を肩幅に開く
2、つま先も軽く開く
3、重心を踝真下に設定する
4、しゃがみ込んで、6回弾む
5、最後の2回で勢いをつけ立ち上がる
6、これを10回行う
このトレーニングは見た目以上にかなりきつく、非常に筋肥大が起こります。
その他の方法「40・50代の基礎代謝を上げるには?現場で実践する4つの方法」で紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

このように低重量トレーニングであっても、様々な方法で筋肥大を起こすことができるんですね!
低重量で筋肥大を起こす時の注意点・メリット・デメリット
低重量トレーニングの注意点などは、以下の通りです。
筋肉を追い込むことが大前提
先程お伝えした反動を活用するトレーニング以外は、
必ず筋肉を追い込み切ることが、筋肥大の最大のポイント
になります。
中途半端で追い込みきれない場合、筋肉が引き締まる可能性もあります。
ですので低重量トレーニングを行う場合は、
・力を出し切る
・筋肉を追い込む
こういったことを守って行うようにしましょう。
オーバーワークになりやすい
実際、低重量トレーニングをしてみて 、
オーバーワークになりやすいし、疲れが残りやすい
という感覚がありました。
これは個人によって変わりますが、低重量トレーニングをするとこなす回数も増えるため、どうしても疲労が蓄積されます。
ですのでこの辺りをうまく調整してトレーニングを実践することが重要です。
もしオーバートレーニングぎみの方は、「オーバートレーニング症候群かも?筋トレのやりすぎで起こる症状と5つの対策」や「筋トレで起こる伸び悩みや停滞期の原因と4つの改善方法」も参考にしてみてください。
精神的な負担が大きい
低重量で行うトレーニングは、かなり回数が多くなる可能性があり、それだけ精神的な負担も増します。
筋肉は基本的に週2回の刺激が必要であり、週2回が維持できないぐらい精神的な疲労が蓄積する場合、高重量でのトレーニングの方がいいかもしれません。
こういった精神的な負担が大きいということも、筋トレを継続する上では考慮する必要があります。
もし筋トレが続かない方は、「筋トレが続かない理由と習慣化する7つのコツ」も参考にどうぞ。
かなり筋肥大する場合もある
実際に低重量トレーニングを行ってみて、刺激の変化も重なりかなり筋肥大した経験があります。
おそらく筋トレ中・上級者の方の場合、
低重量トレーニングで刺激の変化を起こすと、筋肉は成長しやすくなる
と思います。
ですので、まだ低重量トレーニングをやったことない方は、一度試してみる価値は十分にあると思います。

また、低重量トレーニング後にプロテインを飲めば、より筋肥大しやすくなりますよ!
プロテインについては、「【筋トレ】筋肥大したい方におすすめのプロテイン5選」で詳しく解説しています。
今回は低重量で筋肥大する方法について解説しました。
今回の内容が少しでも参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
その他にも筋トレ関連の記事もあるので、こちらもあわせて参考にどうぞ。
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