筋トレをやりすぎると逆効果になり、身体やメンタル面でさまざまな不調が起こる可能性があります。
毎日倦怠感に悩まされていたり、だるさが続くようであれば「オーバートレーニング症候群」の可能性もあり、筋トレ内容を見直す必要があるかもしれません。
この記事では、
・オーバートレーニング症候群とは?
・筋トレのやりすぎで起こる症状
・筋トレのやりすぎを防ぐ・改善する5つの対策
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕(@izuru_style)が解説します。
今回の記事の内容
オーバートレーニング症候群とは?
筋トレをやりすぎることで、オーバートレーニング症候群という慢性疲労を感じるようになるんですね。
オーバートレーニング症候群とは、以下の通りです。
スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態。
大きな過負荷を続けると同時に、疲労回復に必要な栄養と休養が不十分であった場合には、かえって競技の成績やトレーニングの効果が低下してしまいます。このような状態をオーバートレーニング症候群といいます。
実際僕も高校生のときにこの症状が出ましたが、本当にきつかったですね。
オーバートレーニング症候群になってしまうと、疲労感の増加やパフォーマンスの低下など、本当にさまざまな不調が出てきます。
もし今、以下でお伝えする症状が出ている方は、筋トレのやりすぎによってオーバートレーニング症候群になっているかもしれません。
筋トレのやりすぎで起こる症状
筋トレをやりすぎている場合、以下のようなことが起こる可能性があります。
1、疲労感や倦怠感が続く
2、やる気の低下や精神的な不安定さ
3、免疫力の低下で風邪や病気になりやすい
4、筋力低下や食欲不振が起こる
5、頭痛や身体のこりが発生する
それぞれ具体的に解説します。
1、疲労感や倦怠感が続く
筋トレをやりすぎるとまず感じやすいのは、
・重だるいなどの疲労感
・どしんと重い倦怠感
こういった症状です。
筋トレ後2~3日は筋肉が硬くなることで循環が悪くなり、その結果重だるさが出てくることがあります。ただ、長期間は続きません。
ですが、筋トレのやりすぎの場合は、
1週間以上常に、疲労感や倦怠感がつきまとっている感覚に襲われる
ことがあります。こういう場合は、やりすぎと判断して間違いないと思います。
2、やる気の低下や精神的な不安定さ
疲労感などと合わせて感じやすい身体の変化は、「やる気の低下」や「イライラしたり精神的に不安定になる」ということです。
筋トレをやりすぎると交感神経が優位な状態となり、自律神経が乱れしまう。自律神経が乱れることで、
・やる気が起こらない
・筋トレをやりたくない
・イライラして人に当たってしまう
・落ち込みやすくなり、ちょっとしたことでドキドキする
などの精神的な変化が顕著に出てきやすいんですね。
筋トレの意欲が湧かない、精神的に不安定な方はもしかすると筋トレのやりすぎが原因かもしれません。
3、病気や不調(風邪)になりやすい
筋トレのやりすぎで自律神経が乱れると精神的な変化だけではなく、
・風邪をひきやすくなる
・体調を崩しやすくなる
・身体が冷えて寒気が続く
・さまざまな病気にかかりやすくなる
こういった症状も出やすくなります。これは体温との関係があり、筋トレをやりすぎると体温が下がるんですね。
体温が1度下がれば、約30%も免疫力が低下する
とも言われており、それだけ病気になるリスクも高くなります。
このように、健康のために行っていた筋トレでも、やりすぎればそれだけマイナスになってしまう可能性があります。
4、筋力低下や食欲不振が起こる
筋トレをやりすぎると身体に蓄えられている以上のエネルギーを消費し、筋肉を切り崩して不足分のエネルギーを作ることがあります。
そうすると筋肉量が低下し、筋力が低下してしまう。さらに、こういう状態であれば食欲が低下し、食べられないという方も増えます。
筋力低下⇔食欲不振
という負のスパイラルに入り込んでしまい、結果筋トレをがんばっているのに細くなるということが起こる可能性もあるんですね。

筋トレを頑張っているのに、体重減少が続く方は注意が必要です。
5、頭痛や身体のこりが発生する
筋トレのやりすぎで自律神経が乱れると、筋肉が硬くなって循環不良が起こります。そうすると脳への血流量も制限され、頭痛や肩こりなどが起こったりします。
その他には、
・低体温や冷え性になる
・柔軟性が低下する
・腰痛などの痛みが増す
などの症状が起こる可能性もがありますが、このように筋トレをやりすぎることでさまざまな症状が出る可能性があります。
もし頭痛や眠すぎるなどの症状で悩む方は、「筋トレ後に起こる頭痛や吐き気の原因と4つの改善方法」や「筋トレで眠くなる原因と4つの対処方法をトレーナーが解説」も参考にしてみてください。
その他の症状
筋トレのやりすぎで起こるその他の症状は、以下の通りです。
・心拍数の増加
・呼吸が浅くなる
・血圧の増加
・集中力の低下
・睡眠障害
・記憶力の低下 など
本当にさまざまな症状が出てきます。
では、筋トレのやりすぎを防いだり、症状を改善するためにはどのような対策をとればいいのでしょうか?
筋トレのやりすぎを防ぐ・改善するための5つの対策
実際に現場で指導していることも含めて、対策は以下の通りです。
1、心拍数や体温を毎日測る
2、体重を測る
3、頻度を調節する
4、月1回強度を落とす週を作る
5、疲労が溜まっている時は強度を下げる
それぞれ解説しますね。
1、心拍数や体温を毎日測る
一番わかりやすい疲労の指標として、「心拍数」や「体温」があります。まずは、
調子のいい時の心拍数や体温を測っておく
ことが重要です。例えば、元気なときの心拍数と体温が、
心拍数 | 体温 |
65拍/分 | 36.5度 |
だとします。
これを指標にして、毎日朝・寝る前など決まった時間、条件で計測をします。
そして、疲労が溜まってきたりすると、
心拍数 | 体温 |
85拍/分 | 35.5度 |
このように数値が変動します。
疲労が溜まると、
・心拍数は上昇
・体温は下がる
このように動くため、こういう指標を持っておくと客観的な疲労度・筋トレのやりすぎを把握しやすくなります。
心拍数などを計測して高い日があったり続いていると、
・当日の筋トレの強度や量を下げる
・1週間筋トレを休む
などの対応をとります。その中でも心拍数などの計測は毎日行い、調子が良い状態に下がれば通常通りの筋トレに戻す。
そうすると、筋トレのやりすぎや調子の悪化を防いだり、上記でお伝えした症状の改善ができます。

疲労が溜まっているときに筋トレで追い込むと、さらに疲労が溜まり悪循環に陥るので、客観的な数値で判断することが大事ですね!
2、体重を測る
その他の指標としては、「体重」も目安になります。体重は、
・筋トレの全体量
・食事量や質
との兼ね合いを見ることができます。
筋トレをやりすぎると体重は下降気味になるので、体重減少が続けば、
・筋トレのボリュームが多すぎる
・食事量が減っている
などが考えられます。
ですので、未然に「筋トレの全体量」や「食事量」などを調節することでやりすぎを防げたり改善できます。
また、女性の場合であれば生理前後で体重変動が毎月起こりますよね。この変動も計測しておくことをおすすめします。
実際に現場で見ている数値ですが、
・生理1週間前から体重が1kg増える
・生理が始まると体重が元に戻る
という女性がいます。こういう指標を持っておくと、その時々にあった自分の適正体重も把握できます。

これは女性に限りますが、こういった生理前後での体重変動もわかっていれば、より正確に疲労度が理解できて筋トレのやりすぎを防げますね!
食事については、「筋トレ後に行ってほしい疲労回復に効果的な6つの方法」を参考にしてみてください。
3、頻度を調節する
もし筋トレの頻度が週4回以上の方は、頻度の調節は必須です。
筋トレを毎日するから効果がより出るのではなく、
同じ部位に対して、週2~3回の頻度がベスト
です。
筋トレ日は週4日ぐらいになることはありますが、1つの部位に対しては週2回が適切なんですね。
ですので、週2回という頻度を守ってもらうと、やりすぎも基本的には防げます。
メニューの構成のイメージとしては、
日 | 上半身(胸・背中・肩・腕) |
月 | 下半身(大腿部・臀部・下腿三頭筋) |
火 | OFF |
水 | 上半身(胸・背中・肩・腕) |
木 | 下半身(大腿部・下腿三頭筋) |
金 | OFF |
土 | OFF |
こういった感じですね。
詳しいことは「筋トレの分割法(2・3分割)やトレーニングメニューの組み方を解説」で解説しているので、こちらを参考にしてみてください。
そもそも頻度が多すぎる方の場合は頻度を下げ、適切な頻度を守ることも筋トレのやりすぎを防ぐ対策の1つです。
4、月1回強度を落とす週を作る
身体の構造上、毎回筋トレで限界まで追い込み続ければ、必ず疲労回復が間に合わなくなることが分かっています。
ですので、
1ヶ月に1週、もしくは2ヶ月に1週筋トレの量などを下げる休息週を作る必要がある
ということが理論的にも決まっているんですね。
これを無視して、常に全力で身体を追い込み続けると、いつかは伸び悩む時期がきてしまう。
ですので、前もって計画的に量や強度を上げる週を作っておくことで、筋トレのやりすぎを防ぐことにもなります。
イメージとしては、以下の通りです。
この下げる週の筋トレ内容は、
・強度(負荷)を下げる
・回数やセット数を下げる
などさまざまな方法がありますが、これらもすべて自分に合った方法を採用する必要があります。
最初は手探りになると思いますが、ここで理解してほしいことは、
常に全力で筋トレし続ければ、必ずどこかで回復が間に合わなくなる
ということです。

ですので、どこかで強度などを下げる週を設ければ、筋トレのやりすぎを防げたり改善につながるはずですね!
5、疲労が溜まっているときは強度を下げる
筋トレメニューを前もって用意していると、その日の疲労度を無視してメニュー通りに行ってしまう方も多いと思います。
その場合、筋トレメニューはいつもと同じであっても、やりすぎになることがあります。
疲労にも2種類あって、
・身体的な疲労
・精神的な疲労
どちらも互いに影響を与え合うため、どちらかの疲労が溜まっていれば強度を下げる。
そうすると無理することもなくなりますし、やりすぎを防ぐことができるので、こういった対策を前もってとることは上記でお伝えした症状を出さないためにも重要ですね。
ちなみに、疲労回復については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にどうぞ。
こういった対策をすることで、筋トレのやりすぎを予防・改善できるのでぜひ参考に実践してみてください。
筋トレのやりすぎを改善する4つの方法
もし筋トレのやりすぎで起こる症状が出ている方は、以下の4つのことをあわせて行うと改善できます。
1、筋肉を緩めて循環を改善する
まずは硬くなっている全身の筋肉を緩め、循環を改善することです。
この内容は「筋トレ後に行ってほしい疲労回復に効果的な6つの方法」でお伝えしているので、こちらを参考に実践してみてください。
2、食事内容を改善する
体重が減っている方は、食事の調整も行っていきます。適切な量や質が摂れると、すぐに身心とも回復に向かうはずです。
食事については「筋トレ後に行ってほしい疲労回復に効果的な6つの方法」や「3ヶ月間で10kg増量したときの筋トレ内容+食事を紹介」を参考にしてみてください。
もしプロテインを飲んでいない方は、「【筋トレ】筋肥大したい方におすすめのプロテイン5選」も参考にどうぞ。
3、自律神経を整える
筋トレをやりすぎている方は、必ずといっていいほど自律神経が乱れているはずです。
ですので、自律神経を整えることも必要になります。詳しい整え方は「筋トレで自律神経が乱れて体調が悪化する理由と整える4つの方法」こちらを参考にどうぞ。
4、気持ちいいと感じることを行う
そして最も大事なことは、
「気持ちいい」と感じることを継続的に行うこと
です。
気持ちいいことは今の自分に合っている適度なことであり、それを続けていると体調も良くなってきます。
ですので、「筋トレを休むのは…」という方は気持ち良さを尺度に内容調整するようにしてみてください。

これは現場でも活用する方法で、気持ち良いことを続けると体調はかなり改善してきますよ!
今回は、筋トレのやりすぎで起こる症状と対策について解説しました。
・筋トレのやりすぎで、疲労感や倦怠感が増す
・さらに、精神的な不安定さ、体調を崩すことも増える
・筋トレのやりすぎを防ぐためには、心拍数や体温などを管理する
・調子のいいときの数値から崩れると、筋トレ内容や食事などを見直す
・筋トレは週2回の頻度、1ヶ月1週は強度を落とす週を作る
・疲労が溜まっているときなどは、強度を下げるとやりすぎは防げる
こういった内容をお伝えしました。
筋トレのやりすぎは、大病につながったり鬱になりかねないので、しっかりと対策をとることが重要です。
今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメント